【ニホントカゲ・ニホンカナヘビ】飼育時に良くある質問集
ニホントカゲ・ニホンカナヘビの入手方法は?
野生個体の捕獲がメインになります。ニホントカゲは比較的自然が豊かな場所に生息しているのに対し、ニホンカナヘビは住宅地の庭先や市街地の公園などでも良く見られます。
両種とも冬眠をするため、春~秋にかけて活動します。
捕まえたけど種類が分からない!トカゲ?カナヘビ?
ニホントカゲは体表がツルツルした鱗に覆われており、金属のような光沢があります。幼体(生後1~2年)の内は尻尾がとても鮮やかな青色をしています。成体になるにつれて尻尾の青色はなくなり、茶色になります。
ニホンカナヘビは体表がザラザラした鱗に覆われています。ニホントカゲとは鱗が大きく異なるため、近くで見る事ができれば簡単に見分ける事ができます。
ちなみにこちらはニホンヤモリです。夜行性で昼間はほぼ外に出ません。
都会にも意外と生息しており、夜間に民家の壁や街灯、自動販売機など明かりに集まった虫を食べに出てきます。
オスとメスの見分け方は?
ニホンカナヘビは尾の付根の太さでオスとメスを見分けることが出来ます。オスは尾の付根が太く、メスは尾の付根がやや細くなっています。また、産卵時はメスはかなり腹が大きくなるため見分けがつきやすいです。
ニホントカゲは若い(1~2歳)内は非常に雌雄判別が難しいです。
成体のオスは顎下から腹にかけてオレンジ色になるため、成体になるとかなり見分けやすくなります。
写真付きの記事がありますのでご参照ください。
ニホントカゲが土から出てこない!
ニホントカゲは1日のほとんどの時間、土(床材)に潜って出てきませんがそれが普通です。
天気が悪い日は数日出てこない事もありますので心配しなくても大丈夫です。
尻尾が切れた!どうすればいい?
自切した尾は約2カ月程度でほぼ再生します。再生した尾(再生尾)は元々の尾に比べると色が少し違う為、見た目でもこれは再生尾だな、と分かります。
また元々の尾には骨があるのに対し、再生尾は軟骨で再生され、骨がありません。トカゲやカナヘビの尻尾は、栄養を貯めこみ不猟時に備えるという大事な役割を持っています。尻尾を掴むと自切してしまうため、トカゲやカナヘビを捕獲したり触れたりする時は尻尾を掴まない様に注意しましょう。
捕まえたけど動かない!なぜ?
捕獲してきたニホントカゲ又はカナヘビが呼吸はしているのに動かない、動きが極端に鈍い、硬直している時の原因としてまず考えられるのが脱水症状です。トカゲやカナヘビを捕まえられる時期は気温が高いため、捕まえた後に移動等を行い時間が経つとトカゲやカナヘビが上記の状態になる事があります。
トカゲ(又はカナヘビ)を手に持ち、鼻先(口元)に水滴を一滴分つけペロペロ舐めさせて下さい。スポイトなどがあると便利ですが、無ければ指で与えます。水に直接入れると溺れてしまうので絶対にやめましょう。
弱っている時はなかなか舌を出さないですが、根気強く鼻先(口元)に水滴をつけてあげてください。脱水症状なら一度飲み(舐め)始めればどんどん水を飲みます。そうなれば数十分もすれば回復して動けるようになります。状況が改善しない場合はすぐに専門医に相談してください。
回復した場合、飼育するのであれば床材や水飲み場等の設備をしっかり準備しておきましょう。ケージに入れた直後は、霧吹きでケージの壁面に水滴を付けておくとトカゲが水場を探す手間が省けるためおすすめです。
おそらくここを見ているということは捕まえてきたトカゲ又はカナヘビに緊急の異常が起こっているのだと思いますので結論から書かせて頂きました。
もちろん脱水症状以外の可能性も十分考えられるため本当なら専門家や専門医に診てもらう事が一番です。ただ、時間や場所によってはそのような対応が困難な場合もあると思います。
その時に「何も出来ず死んでしまった」という事を極力回避する応急処置だとご理解ください。
餌は何を食べるの?赤ちゃんの餌や入手方法は?
野生下では基本的に生きた昆虫を捕食しているため、餌は活餌が基本です。
生体のサイズや成長に合わせて餌のサイズを選びます。生まれたばかりの幼体にはピンヘッドと呼ばれる3~5㎜程度のコオロギの幼体を与えます。
ひと昔前までは活餌は自分で調達するか、専門店まで買いに行かなければ手に入りませんでしたが、今はネットショップやヤフオクなどでサイズも豊富に選べて簡単に入手できます。特にヤフオクは良い出品者に出会えれば店で購入するより安価で高品質なものを購入できる場合もありますのでおすすめです。
餌の与え方ですが、飼い始めてすぐはケージ内に直接餌を入れて自然に近い状態で給餌します。
給餌の前は必ずクル病や卵詰まり予防の為、餌にカルシウムパウダーを塗して(ダスティング)から与えます。
室内と屋外、どちらでの飼育が良い?
室内飼育の主なメリットは、人に馴れやすい、いつでも観察できるため貴重な光景を目にしやすいといった点があります。どの程度馴れるかと言うと半年も飼育すれば飼主の手から給餌出来る個体もいるくらいです。デメリットとしては飼育器具一式を揃えたり、日々の電気代等の飼育にかかるコストがかかってしまうという点です。特に冬季はヒーターや暖房を駆使するため電気代がかかります。
一方、屋外飼育ではコストを掛けず、より自然に近い環境で飼育できるというメリットがあります。野生下に近い状態を観察できるため、ニホントカゲの生態をより詳しく知ることが出来ます。
また、個人的な感想になりますが、室内飼育より屋外飼育の方が病気や突然死などの事故が少なく感じます。
屋外飼育のデメリットとては、人に慣れにくい、単体での飼育だとほとんど土に潜っているため、日中の一部の時間しか目にする事ができないという点でしょう。
室内飼育を選択する上で重要なポイント
- ケージ設置スペース、飼育器具や光熱費等のランニングコストを工面できる。
- 家族の理解を得られる。
屋外飼育を選択する上で重要なポイント
- ベランダや庭に十分な広さが確保できる。
- 日陰を作る工夫が出来る。
- 冬季も忘れずにメンテナンスを行える。
室内・屋外どちらで飼育を行うにしても、それぞれの環境や準備が必要になります。
自分の生活に合った飼育方法を選ぶことをおすすめします。
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人に懐くの?
結論から言いますと、トカゲやカナヘビに限らず爬虫類は人に懐くことはありません。なので、犬や猫や鳥などのように、人間の言う事を聞かせる事は不可能です。よくテレビでワニの口に手や頭を入れるショーなどをやっているのを見かけますが、あれはワニの習性を上手く利用しているだけであり、決して人間の言う事を聞いているわけではありません。以前、私が大型のトカゲを飼育していた時も10年以上飼育していたにも関わらず隙があれば常に脱走の機会を狙っていました。
そんな人に懐かない爬虫類ですが、人に馴れさせる事は可能です。飼育して感じた事はニホントカゲやカナヘビは小さいながら一定の知能があり、餌場や水場の位置を覚えることが出来ます。
そして、トカゲやカナヘビにとって人間(飼い主)が危険な生き物ではなく、餌の運び屋という彼らにとって利益があるものだと覚えさせれば人にはかなり馴れていきます。
個々の性格により個体差はありますが、野生で捕獲した個体でも時間をある程度かければ人がケージを開けたり、多少触れたりしたくらいでは逃げなくなり、人間の手から直接餌を与える事も可能になります。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
餌を食べない!どうしたらいい?
・床材、シェルター(隠れ家)、水飲み場はありますか?また、気温は25~28℃ですか?
→脱水気味の時や隠れる場所がないなど飼育環境が整っていない場合ストレスで拒食する場合があります。ニホントカゲは土中に潜るため床材の厚みも重要です。
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・捕獲してきて日が浅い。
→飼育環境を整えれば通常2~4日で食べます。最初の給餌はケージ内に直接活餌を入れて自然に近い状態で給餌を行います。
・活餌は何を与えていますか?
→個体により、餌に好みがあります。コオロギやハニーワームは嗜好性が高く受け入れられやすいので試してみてはいかがでしょうか。タイミングが合えばヤフオクで購入できます。
ニホントカゲとニホンカナヘビは一緒に飼えるの?
飼育可能ですが、両者がそれぞれ寝床が違うため用意する必要があります。
ニホントカゲは床材に潜るため床材を厚めに敷く。
ニホンカナヘビはシェルター(割れた植木鉢などの隠れ家)を用意する。
野生での生活環境はほぼ同じのため、上記の2点に注意すれば同居可能です。
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多頭飼育はできるの?
できます。ただ、適度な大きさのケージが必要になりますので小さいケージの場合は避けた方がいいです。
ニホントカゲもニホンカナヘビもケンカをします。特にニホントカゲはオスが2匹いるとほぼ間違いなくケンカが起こり、頭数が多い(密度が高い)とそれだけケンカも多くなります。時にはケンカにより流血する場合もあり、傷口から細菌感染し膿瘍が出来てしまう場合があります。膿瘍が出来ると命に係わるため、適度な密度で飼育する必要があります。
卵を産んだけどどうすればいい?
メスが産卵し卵を確認出来た場合、無事に孵化させるためには親と隔離して管理を行います。理由は下記の2点です。
- 多くの爬虫類の卵は産卵後に卵の上下が決まってしまうため。
- 親が卵を食べてしまう(フィリアルカニバリズム)を防ぐため。
多くの爬虫類の卵は産卵後に胚の向きが決まるため向きを変えてはいけません。メスが産んだ際の向きで卵の上下が決まります。親や他の飼育個体に蹴られて向きが変わる前に、回収する必要があります。この時に、マジックで卵上部に印を付けて置くと分かりやすいです。
また、自分の子供(卵)に危害が及んだ際に「捕食者の栄養になるくらいなら自身の栄養に」という理由から子育て中の親が自分の子供(卵)を食べてしまう事があります。
ニホントカゲのメスは卵の孵化まで食事もとらず巣穴で卵を守ります。卵を見つけたという事はトカゲからすれば「卵が見つかった!」ということになり、自身で産んだ卵を食べてしまう場合があります。また、卵を隔離することで母体がすぐに食事を摂ることができ、母体の体力の回復にも繋がります。
卵の管理につきましては下記のように行います。
- 小さめの容器や虫かごを卵用ケースとして用意し、床材を2~3㎝程度敷いて湿らせる。
- 卵の上部にマジック等で印を付ける。(上下が分からなくならないように)
- 卵用ケースの床材に卵を入れる部分に少し窪みを作り卵の向きを変えずに移動させる。
- 卵に直接水がかからないように床材に水分を補給する
うちでは床材はカブトムシマットを使用しています。順調に卵が育つと色は白いまま水分を吸収して少しづつ卵が大きくなり、40日前後で孵化します。また、無精卵や死んでしまった卵は黄色く変色して凹んできたりカビが生えたりします。そうなった場合は早めに取り除きます。気温は25℃前後を目安に管理をします。
脱皮しているときに注意するべき事は?
脱皮の際の注意点は脱皮不全です。脱皮不全になると脱皮殻が乾燥して食い込み、血行障害を起こして尻尾や指が壊死し欠損する場合があります。
脱皮している個体を見かけた時は、脱皮不全を防ぐため湿度を高めに管理します。特に床材を常に乾燥状態で管理している場合は注意が必要です。
水入れを体全体が入る大きさにする、濡らしたミズゴケをケージ内に入れる等で対応できます。
床材が少し湿っている程度で管理していれば通常は問題ありません。