ニホントカゲやニホンカナヘビを飼育する上でやりがちな失敗と良く聞かれる注意点をまとめました。爬虫類を初めて飼育する方向けの内容になっていますが、生体が調子を落したり、時には命に関わる内容も含まれますので最後までお読み頂ければ幸いです。
飼育時の注意点と絶対にやってはいけない事
飼育容器を直射日光のあたる場所に置いて日光浴させる
『爬虫類には日光浴が必要だから・・・』という理由で飼育ケージを日当たりの良い場所に置くという話を良く聞きますが、それはとても危険な行為です。
確かに屋外飼育をする場合はケージを日が当たる場所に置きますが、それは適度な日陰を作ったり、ケージ内でトカゲ達が適度な温度の場所を選べる十分な広さや、床材の厚みを確保している場合に限り出来る事です。虫かごなどの小さな容器は熱がこもり内部がすぐに高温になってしまう為、屋外飼育には絶対に使用するのはやめましょう。床材も少量しか入らないため土中も高温になり生体が冷所に避難できずすぐに死んでしまいます。また、雨の日も水が溜まってしまい、溺れてしまう危険もあります。
※屋外飼育についてはこちらをご参照ください。
真夏の直射日光下に虫かごや、60㎝水槽程度の広さのケージを置いてしまうと、数分~数時間で内部が高温になり、中の生体は死んでしまいます。環境を整えず、無暗に生体に直射日光を当てる事は絶対にやってはいけません。
ニホントカゲやニホンカナヘビを飼育する際は屋外飼育なら環境をしっかり整えてから行い、室内飼育の場合は紫外線ライトとバスキングライトを購入し設備を整えてから飼育を行いましょう。
無理な多頭飼育をする
ニホントカゲもニホンカナヘビもケンカをします。特にニホントカゲはオスが2匹いるとほぼ間違いなくケンカが起こり、頭数が多い(密度が高い)とそれだけケンカも多くなります。時にはケンカにより流血する場合もあり、傷口から細菌感染し膿瘍が出来てしまう場合があります。膿瘍が出来ると命に係わるため、適度な密度で飼育する必要があります。
設備が不十分な環境での飼育
当たり前ですが、どんな生物でも飼育するためにはその生物に適した環境を用意する必要があります。
適さない環境で飼育を行うとストレスにより拒食をしたり、病気になる確率が大幅に上がります。
例えば、体を温める為に絶対必要なバスキングライトを用意しないで飼育をしたり、土に潜る習性をもつニホントカゲの床材にキッチンペーパーを使用したりする方が残念ながらいらっしゃいます。
この記事を読んで頂いている方は飼育中、または飼育前にしっかり調べてから飼育される事と思いますので、しっかりと環境を整えて飼育を行ってください。
冬季の加温不足での飼育
室内飼育を行う場合は冬眠をさせずに越冬させる方がほとんどかと思います。
冬季の室内飼育で一番気を付けないといけないの事が加温不足です。冬季は室内とはいえ気温が1桁台になることも少なくありません。『昼はヒーターとライトで適温まで温められるが、夜はヒーターだけでは不十分かも・・』という環境で飼育を続けると生体が体調を崩し、死んでしまう場合があります。
爬虫類用のヒーターだけでは不十分な場合はエアコンなどの暖房器具と併用して室内を温める必要があります。
カルシウム剤を添加せずに給餌する
ニホントカゲとニホンカナヘビを飼育する上で、起こりやすいトラブルがクル病・卵詰まり・脱皮不全です。このうちのクル病と卵詰まりは給餌の際にカルシウム剤を添加する事により予防できる確率が大幅に上がります。
給餌の際はカルシウム剤を活餌に塗してから与えましょう。コオロギなどの逃げやすい活餌は使い捨てのプラスチックのコップなどにコオロギを入れてからカルシウム剤を振りかけるとやりやすいです。
脱走させてしまう
いつのまにか脱走してしまった、ハンドリングの最中に逃げられてしまった、メンテナンス中に気が付くといなくなっていた等、素早い小型爬虫類の飼育は特に脱走の危険と常に隣り合わせです。そして爬虫類は脱走が大得意です。
庭先で捕獲した屋外飼育しているトカゲが脱走したのであれば特段問題はないですが、室内やベランダで飼育されているトカゲにとって脱走は自由ではなく死です。
飼主にも生体にも不幸な脱走による事故はケージの構造や飼主の不注意によるケースがほとんどですので生体を扱う際は脱走されないよう常に注意しておきましょう。