和名 | ニホンカナヘビ |
英名 | Japanese grass lizard |
学名 | Takydromus tachydromoides |
分類 | 爬虫類 |
分類詳細 | 有鱗目トカゲ亜目カナヘビ科 |
ニホンカナヘビの特徴
生態と習性、特徴は?
ニホンカナヘビは日本のほぼ全域に生息するカナヘビ科の爬虫類です。名前に「ヘビ」がつきますがトカゲの仲間です。似た環境に生息するニホントカゲとは違い、体表はざらざらした光沢のないウロコに覆われているため動いていなければ簡単に見分けられます。体色は個体により多少濃淡がありますが、茶色い背中に体側面に濃い茶色のラインが入り、腹部は淡い黄色をしています。成体の大きさは17㎝~25㎝位で、体長の約3分の2の長い尾を持ちます。木や高い所に登る事が得意なので、飼育の際は脱走に注意が必要です。
身の危険を感じると自ら尾を切り、尾はしばらく動き続けるためそれを囮にして逃走します。個体により性格差があり、攻撃的な個体は捕獲の際に手を咬む事もありますが無毒で痛くもないです。昼行性で日当たりの良い草むらや倒木付近で晴れた日は良く日光浴をしています。
5月~9月にかけて1回に1~8個の卵を数回に分けて産卵します。ニホントカゲとは異なり、卵の保護は行いません。卵は水分を周囲の土壌などから吸収して約1.5倍の大きさまで膨らみ、約2ヶ月で5㎝前後の幼体が生まれ、約1年で成体になります。寿命は7年前後です。
餌は何を食べるの?
基本的に飼育する以上、生きたコオロギやミルワームを用意する必要があります。
生体のサイズや成長に合わせて餌のサイズを選びます。生まれたばかりの幼体にはピンヘッドと呼ばれる2~3㎜程度のコオロギの幼体を与えます。
ひと昔前までは活餌は自分で調達するか、専門店まで買いに行かなければ手に入りませんでしたが、今はネットショップやヤフオクなどでサイズも豊富に選べて簡単に入手できます。特にヤフオクは良い出品者に出会えれば店で購入するより安価で高品質なものを購入できる場合もありますのでおすすめです。
餌の与え方ですが、飼い始めてすぐはケージ内に直接餌を入れて自然に近い状態で給餌します。
給餌の前は必ずクル病や卵詰まり予防の為、餌にカルシウムパウダーを塗して(ダスティング)から与えます。
オスとメスの違い
ニホンカナヘビは尾の付根の太さでオスとメスを見分けることが出来ます。オスは尾の付根が太く、メスは尾の付根がやや細くなっています。また、産卵時はメスはかなり腹が大きくなるため見分けがつきやすいです。
生息地は?
日本国内のほぼ全域、庭先から森林、草原まで様々な環境で生息しています。
ニホンカナヘビの室内飼育で用意するもの
まずはじめにニホンカナヘビに限らず、爬虫類を飼育下で冬眠させる事は難しいです。
日本のトカゲやヘビは一般的に15℃以下になると温度変化の少ない土や倒木の中に潜り冬眠します。
そして春になり、気温が15℃~20℃になると冬眠から明け、活動を始めます。
飼育下で冬眠させる場合、生体が冬眠から目覚めないようケージ内の温度を5℃~15℃に保つ必要があります。また、冬眠中は捕食はしないものの、給水は行っているようなので適度な湿度を保つ必要があります。湿度が必要とは言え、床材やシェルターが薄く、屋外で濡れ過ぎている場合は生体ごと凍結してしまう可能性もあります。屋外の日向にケージを置いておくだけでは昼間は温度が高くなるため冬眠できません。
姿が見えていないのに温度や湿度を適度に調整することは、しっかりと設備を整えた上、ある程度経験がなければ難しいでしょう。
爬虫類にとって「冬眠失敗=死」です。ヒーター等の暖房器具を揃えれば冬眠させずに室内での飼育が可能ですのでまずは室内での飼育をおすすめします。
※飼育器具を揃える上で「ケージとライトの組み合わせが分からない!」「結局どれを選んでいいか分からない!」という方はこちらの記事をご参照ください。飼育数やケージサイズで飼育器具一式セットをご紹介しています。
ケージ
単体で飼育するなら幅40㎝以上、複数なら幅60㎝以上のケージをおすすめします。大きめの虫籠や水槽でも問題なく代用できます。虫かごや水槽を利用する場合は風通しがよくなるようにしましょう。爬虫類用の専用ケージは上部が金属網になっており通気性が良く、前面が開くようになっているためメンテナンスや給餌がしやすいので用意が出来るのであればおすすめです。前面扉はスライド式と観音扉式があります。
※ケージのサイズですが、商品名に6030と記載があれば内寸が幅60㎝・高さ30㎝、9045なら幅90㎝・高さ45㎝という表記になっている場合が多いです。参考までに。
前面扉 スライド式の良い点:頑丈な作りのものが多い。
スライド式の悪い点:扉片方分しか開口出来ないため、メンテナンス時は上部からがメイン。
前面扉 観音扉式の良い点:扉のある部分は全て開口になるためメンテナンスしやすい。
観音扉式の悪い点:強度に若干不安がある。扉の開けすぎには注意が必要。
メンテナンスや給餌を行うことも考え、ケージの形状・置く場所や高さを決めてください。水槽やケージは床材を入れるとかなりの重量になるため頻繁に移動は難しいでしょう。
また、飼主に早く慣れさせる為にも給餌の際は出来るだけ生体の死角から与えないよう心がけましょう。詳細はこちらの記事をご参照ください。
私はGEX社のエキゾテラ グラステラリウムシリーズを使用しています。理由は前面扉が観音開きで開くため開口部が広く、また他のGEX社製品と併用した際に使い勝手が良い為です。また、上部以外の5面がガラス製のため、観察がしやすい構造になっています。欠点としてはガラス面が多い分、重量も重いので購入するケージがご自身又はご家族で移動できるか購入前に確認する事をおすすめします。
バスキングライトの選び方・設置方法・注意点
バスキングライトの選び方
爬虫類は変温動物のため、自分で体温を上昇させる事ができません。ニホントカゲも体が活動に適した体温になるため日光浴をします。バスキングライトは体を温める為に必要ですので必ず用意しましょう。金額は1,000円前後から購入できます。
バスキングライトを設置する位置からバスキングスポットの距離により温まる度合いが変わるため、バスキングライトを選ぶ際のW数はケージのサイズとライトの設置方法に合ったものを選びます。
温度の目安としてはバスキングスポットが35℃前後になるように調節します。
また、バスキングスポットには温まりやすい石や流木を置き、その厚みも考慮しバスキングライトのW数を選んでください。標準的な60㎝水槽(幅60×奥行30×高さ36cm)であれば50W~75Wで十分です。
※こちらで紹介する商品はGEX社のサングローシリーズの数値となります。他商品を使用の場合は数値が異なる場合がございますので、事前に確認の上ご購入ください。
バスキングライトからバスキングスポットまでの距離が約10㎝→25W
バスキングライトからバスキングスポットまでの距離が約20㎝→50W~100W
バスキングライトからバスキングスポットまでの距離が約30㎝→150W
※バスキングライト・紫外線ライトが一体になった商品もあります。メリットとしてはライトはこの1つで足りるため、設置場所とソケットは1つで足ります。デメリットは金額がかなり上がり、不良品を引いた際に電球が早期で切れてしまう可能性があるという点です。
バスキングライトの設置方法
バスキングライトのソケットには大きく分けてクリップ式とスタンド式の2種類あります。使用するケージの形状に合わせて選ぶ必要があります。
クリップ式
その名の通りソケットとクリップが一体になっており、クリップ部分をケージの枠やランプステーに挟み使用します。※上記で紹介したライトの口金のサイズは全てE26です。
良い点
- 取付位置の自由度が高い。
- 比較的安価で購入できるものが多い。
- バスキングスポットまで近い距離に設置できるため、小さいW数のライトを使用できる。
悪い点
- ケージ内部に取り付けるため、レイアウトによっては生体が触れてしまう危険がある。
- ケージ内部に取り付けるため、圧迫感が出てしまう。
スタンド式
ケージ外部にスタンドを置き、上部からライトを照射して使用します。ライトドームとライトスタンドが別売りのため、それぞれ用意する必要があります。
※ライトドームは使用する電球のW数に合うものを選びます。ライトドーム14㎝は75Wまでの電球が対象なのに対し、ライトドーム18㎝は150Wまで対応しています。
良い点
- ケージ外に取り付けるため、生体が触れてやけどする心配がない。
- ケージ外に設置のため、ケージを広く使えるため高さのあるレイアウトがしやすい。
悪い点
- ケージ外の上部に取り付けるため、バスキングスポットとの距離が遠くなり、高いW数のライトが必要ななる。
- スタンドとソケットが別売りのものが多く、コストがかかる。
バスキングライト設置時の注意点
- 高温になるため、生体が触れないよう注意する。(やけど防止)
- ソケットや、ライトドームも高温になるため火災に注意する。
- 初期不良防止のため、電球を触る際は手袋を付け、皮脂を付けないようにする。
紫外線(UVB)ライトの選び方・設置方法
その名の通り紫外線を発生させるライトです。金額は2,000円~とバスキングライトより高めです。紫外線ライトが必要な理由としまして、骨を作るカルシウムを吸収するにはビタミンD3が必要です。そのビタミンD3は日光浴によって体内で生成する事ができます。これは人間も爬虫類も一緒です。(後述しますが、カルシウム+ビタミンD3入りの爬虫類用のサプリメントが売っています。)
しかしライトから紫外線量は日光に比べるとかなり微弱なようです。最近の住宅の窓ガラスはUV(紫外線)カットのペアガラスがかなり増えていますが、それでも紫外線を全てカット出来るわけではありません。最近の新築住宅で主流のLow-Eペアガラスでも10%以上の紫外線透過率があります。
個人的にはケージを1日2~3時間程度、室内で日光浴させる事ができればライトの設置は不要と思われます。しかし、現実的には難しいのでそれができない場合は用意しましょう。※ケージを室外の直射日光の当たる所に置くと中が熱くなりすぎて死んでしまうためやめましょう。
紫外線ライトの選び方
紫外線ライトはUVAを出すライトとUVBを出すライトの2種類がありますが、ニホントカゲの飼育に必要なのはUVBライトです。UVBの照射量はライトに近ければ近いほど強く、離れると弱くなります。
使用していくうちにUVBの照射量も落ちていくため、定期的に交換が必要です。GEX製のUVBライトは熱帯・亜熱帯に生息の爬虫類用のライトと砂漠に生息の爬虫類用ライトの2種類が出ています。
ニホントカゲは熱帯・亜熱帯に生息の爬虫類用のライトを使用します。(照射量の数値をみるとそこまで数値は変わらないのでどちらでもいい気はします。)
生体から10㎝~20㎝の距離で照射する場合は13W、生体から20㎝~30㎝の距離で照射する場合は26Wをおすすめします。ちなみにどちらも生体からの距離が30㎝を超えると効果はほとんど期待出来ない数値になります。13Wも26Wも価格はほとんど変わらない為、照射距離が長い26Wがおすすめです。
紫外線ライトの設置方法
紫外線ライトのソケットには大きく分けてクリップ式とトップライト式の2種類あります。使用するケージの形状に合わせて選ぶ必要があります。
クリップ式
その名の通りソケットとクリップが一体になっており、クリップ部分をケージの枠やランプステーに挟み使用します。
良い点
- 取付位置の自由度が高い。
- 比較的安価で購入できるものが多い。
悪い点
- ケージ内部に取り付けるため、レイアウトによっては生体が触れてしまう危険がある。
- ケージ内部に取り付けるため、圧迫感が出てしまう。
トップライト式
ケージ上部に設置して使用します。ケージの大きさにより必要なライトの本数が変わります。
※サイズの関係からGEX製のケージを使用している場合のみ使用可。GEX製以外のケージの場合、サイズが合わない可能性があるため注意してください。
良い点
- ケージと一体化した見た目でスッキリしている。
- ケージ外に取り付けるため、生体が触れてやけどする心配がない。
- ケージ外に設置のため、ケージを広く使えるため高さのあるレイアウトがしやすい。
悪い点
- 本体+ライト×(ケージに合った本数)が必要になるため、コストがかかる。
- GEX製のケージ以外にはサイズが合わない可能性がある。
各種ライトの設置上の注意点
ライトを設置する際や交換時はライトの故障を防ぐためゴム手袋を付けて作業する事をおすすめします。ウェブショップでライトを購入する際にレビューをみていると「すぐに電球が切れてしまった」「買ったばかりなのに付かない」等の評価が良く見られます。
電球・電極部分に皮脂が付くとライトの寿命が縮み(特にハロゲンランプ)、上記のようなトラブルが発生しやすくなります。もちろん中には不良品をあると思いますが、このようなトラブルが起こる確率を低くするために電球、電極部分は素手では触らないようにしましょう。ちなみに私が購入した商品にもこういったレビューが複数ありましたが、問題はまだ起こっていません。
ヒーター(冬季)
室内飼育の場合は冬眠させない(できない)ため、ヒーターを使い温度を一定に保ちます。
生体が自身で適温の場所を選べるようにケージの半分~三分の一程度の範囲を温められるヒーターを選び、用意します。
石や流木
カナヘビはバスキング(日光浴)する際に温まりやすい木や石の上に乗ることを好みます。ペットショップでも売っていますが、結構高いです。どちらも海や川で拾えるため、石は良く洗い、流木は一度煮てよく乾燥させてから使用する事をおすすめします。市販の隠れ家(シェルター)を入れるのも良いでしょう。
水入れ
体全体が入る大きさの水入れを用意しましょう。ザラザラしたタイプの陶器や木製のものが好ましいです。プラスチック製の物は登れずに溺れてしまわないように注意しましょう。また、飼い始めてすぐは水入れから水を飲まない場合があります。霧吹きをかけるとケージや顔についた水滴を舐めるため、飼い始めて数日は霧吹きで水を与えましょう。
餌入れ
飼い始めてすぐは餌をピンセットであげてもまず食べません。まずはケージに直接餌を入れ、それを食べるようになったら餌を小皿に入れて環境に慣れさせましょう。生餌が脱出しないよう、返しの付いた専用の小皿も数百円で売っています。個体差はありますが、2カ月目あたりから少しづつピンセットから食べてくれるようになります。
床材
ニホンカナヘビは地中に潜る習性はないため、床材はそこまで厚く用意しなくても問題ありませんが、ヤシガラマット等の繊維状の床材は、カナヘビのような小型の爬虫類には向かないように感じます。以前使用したことがありますが、餌を食べる際に口に絡まっている光景を何度か目にしたため、すぐに取り替えました。実際に繊維を誤ってのどに詰まらせて死んでしまうこともあるようです。※小石も誤飲を避ける為、入れない方がいいでしょう。
うちではカブトムシ用消臭炭入りマットを合計3㎝以上の厚さになるように敷いています。
※カブトムシマットにはダニやチャタテムシの発生を防ぐため針葉樹マットを混ぜる事をおすすめします。
土だけではどうしても土埃が舞ってケージ内や室内が汚れやすいです。その点カブトムシ用マットは保湿性が高く柔らかい為、土埃が舞わず後述する脱皮不全対策にもおすすめです。
※少々高価ですが、爬虫類用の床材としてバクテリア入りの土も市販されています。臭いが気になる場合はこちらも試してみてはいかがでしょうか。
ニホンカナヘビの餌について
好みの餌は?
結論から言いますと、ハニーワームです。ただ金額が他の餌に比べ高価な上に売っている店舗が少ないため手に入れにくい餌です。なので比較的手に入れやすい餌で食いの良い餌をまとめてみました。どれも全て生きた餌(生餌)です。
また、近隣にペットショップが無い方や、売っていなかったという方はヤフオクがおすすめです。
タイミングにもよりますが、良い出品者を見つければ店舗で購入するよりかなり安価で入手できる場合があります。私も実際利用しましたが、店舗より良質なものを販売している方も多くいらっしゃいます。こちらで紹介しているミルワーム・ハニーワーム・コオロギも出品されている時がありますので是非探してみてください。
餌の種類 | 食いの良さ | 参考価格 |
ミルワーム | △ | 200匹 400円前後 約2円/匹 |
コオロギ(Mサイズ) | 〇 | 60匹 700円前後 約12円/匹 |
ブドウ虫(ハニーワーム) | ◎ | 30匹 750円前後 約25円/匹 |
ちなみにミルワーム・コオロギは爬虫類店や大型の観賞魚を取り扱っているペットショップに売っています。ブドウ虫は上州屋などの釣具店で渓流釣りの生餌として売っています。繭ありタイプと繭無しタイプがありますが、ケージ内が糸だらけになるため繭無しがおすすめです。
まれにペットショップにハニーワーム(ハチノスツヅリガの幼虫)が売られている時があります。ブドウ虫より若干安価で購入出来ます。
ミルワームはゴミムシダマシという甲虫の幼虫、ブドウ虫はブドウスカシバという蛾の幼虫です。どちらも成虫になる前に食べさせるようにしましょう。個体により好みの餌に偏りがありますので色々試してみると個体ごとの好みが分かってきます。
カルシウム+ビタミンD3
骨を作るカルシウムを吸収するにはビタミンD3が必要です。飼育下では不足しがちなカルシウム+ビタミンD3入りの爬虫類用のサプリメントが売っています。粉末タイプなので直接活餌に振りかけてから給餌します。クル病や卵詰まりの予防にもなるため必ず行いましょう。
ニホンカナヘビが餌を食べない
ニホンカナヘビはニホントカゲと比べ、かなり食には貪欲です。水飲み場さえしっかり用意すれば1週間程度食べなくても問題ありませんが、環境を整えれば1~3日位で食べてくれると思います。もしそれでも食べないとき拒食の原因として考えられる点と対策について書いてみたので参考にして頂ければ幸いです。※まずはハニーワームやブドウ虫を与えてみて下さい。大好きな個体が多いです。
環境が合っていない
ケージ内の温度は適温か?ニホンカナヘビが隠れる場所はあるか?バスキングライトを設置しているか?これらを確認してみてください。
餌が好みではない
→数種類の餌を与えてみましょう。ミルワームは最初は食べない個体もいます。売っている餌の他にも小さなクモやバッタ等も捕食します。ある程度環境を整えればブドウ虫やハニーワームを与えればまず食べてくれます。
人が気になって食べない
→飼い始めてすぐは、人が見ていると食べない時があります。まずはケージ内に直接餌を入れて少し離れて観察しましょう。
弱っている
→ブドウ虫やハニーワームの頭を切り、匂いを嗅がせてみたり体液をなめさせてみたりしてみてください。それでも効果がない場合は、体力があるうちに捕まえた場所に帰してあげることをおすすめします。
ニホンカナヘビの室内飼育の注意点
ケージ内の温度と湿度は?
ケージ内の温度は25℃前後、湿度は50%前後を目安に保ちましょう。床材は少し湿っていれば大丈夫です。渇きすぎと濡れすぎには注意してください。
タイマーがあれば温度やライトの点灯時間を自動で管理できるので便利です。
ライトの種類と設置上の注意点
ライトを設置する際や交換時はライトの故障を防ぐためゴム手袋を付けて作業する事をおすすめします。ウェブショップでライトを購入する際にレビューをみていると「すぐに電球が切れてしまった」「買ったばかりなのに付かない」等の評価が良く見られます。
電球・電極部分に皮脂が付くとライトの寿命が縮み(特にハロゲンランプ)、上記のようなトラブルが発生しやすくなります。もちろん中には不良品をあると思いますが、このようなトラブルが起こる確率を低くするために電球、電極部分は素手では触らないようにしましょう。ちなみに私が購入した商品にもこういったレビューが複数ありましたが、問題はまだ起こっていません。
多頭飼いは出来る?
ニホンカナヘビは特にオスがケンカをします。最初はケンカをしていても数日一緒にいると何も起こらなかったりもします。ケージの大きさ幅60㎝の水槽で5~7匹程度までなら一緒に飼えるので少ない数から様子をみてオスの数がメスを上回らないよう少しずつ増やしていく事をおすすめします。また、交尾前はオスがメスに咬みついて離さなくなりますが、ケンカではありません。
ニホンカナヘビの産卵と孵化について
ニホンカナヘビは産卵を数回に分けて行うため、初めのうちの産卵は終わっても腹がまだ大きく気付きにくいです。また、障害物の下や土の中に卵を産むため産卵したかどうかは注意して観察する必要があります。
生まれた卵は餌のコオロギに食べられてしまったり、他のカナヘビに蹴られて上下逆さまになると内部で窒息死してしまうため、安全に孵化させるためには別のケースに保護する必要があります。卵の保護方法は以下の通りです。
- 小さめの容器や虫かごを卵用ケースとして用意し、床材を2~3㎝程度敷いて湿らせる。
- 卵の上部にマジック等で印を付ける。(上下が分からなくならないように)
- 卵用ケースの床材に卵を入れる部分に少し窪みを作り移動させる。
- 卵に直接水がかからない様に床材に水分を補給する
順調に卵が育つと色は白いまま水分を吸収して少しづつ卵が大きくなり、40日ほどで孵化します。また、無精卵や死んでしまった卵は黄色く変色して凹んできたりカビが生えたりします。そうなった場合は早めに取り除きます。気温は25℃前後を目安にそこまで細かく管理しなくても通常の室温で大丈夫です。
冬眠はするの?
野生下や室外飼育では冬眠しますが、室内飼育の場合は冬眠させません。室内でも人が入らず温度が常に低い部屋だと冬眠してしまうため、室温は注意が必要です。バスキングライトに加え、温度勾配(ケージ内に温かい場所と涼しい場所を作ること)ができるようケージの三分の一程度に暖房マットを敷いて保温しましょう。
脱皮不全について
爬虫類にとって脱皮は危険を伴う現象です。ニホンカナヘビも例外ではなく、脱皮を失敗すると脱皮殻が乾燥して体に食い込み、血行障害を起こして尻尾や指が壊死し欠損する可能性があります。外敵にやられた可能性もありますが、野生の個体でも指や手がない個体は良くいるため、野生下でも脱皮不全が起こる事は少なくないのかもしれません。
飼育下では脱皮不全は注意をしていれば防げることがほとんどで、原因として多いのは床材の乾燥によるものです。脱皮中の個体を見かけた際は霧吹きの回数を増やしたり、トカゲの体全体が入る水飲み場を用意する等、湿度管理を十分に行って回避しましょう。