和名 | ニホンヤモリ |
英名 | Japanese gecko |
学名 | Gekko japonicus |
分類 | 爬虫類 |
分類詳細 | 有鱗目ヤモリ科ヤモリ属 |
ニホンヤモリの生態
生態
ニホンヤモリは本州・四国・九州・対馬に生息している体長10㎝~14㎝の小型の爬虫類です。体色は薄い茶色~濃い茶色へ環境により変化します。夜行性のヤモリの特徴で瞳孔が縦に長くなっています。※ちなみに昼行性のヤモリの瞳孔は丸いです。
ニホンヤモリという名前ですが、もともとはユーラシア大陸からの外来種と考えられています。
夜行性で生きた昆虫を主食とし、民家の壁や街灯、自動販売機など、夜間に明かりに集まる虫を食べに来る姿が良く見られます。また、夜行性ですが昼間に日光浴をすることもあります。
ヤモリの足の裏にある趾下薄板(しかはくばん)という器官には細かい毛が生えており、垂直なガラスや壁、天井を移動出来るため、飼育の際は脱走に注意が必要です。
ニホントカゲや、ニホンカナヘビ同様、天敵から逃れる為に尻尾を自切することが出来るため、捕獲及び飼育時には尻尾を掴まないように注意が必要です。
飼育には小さい虫かごでも飼育でき、拒食する個体も少ないです。窓の近くの少し太陽光が当たる場所があればバスキングライトや紫外線ライトも要らないため、ニホントカゲやニホンカナヘビの飼育と比べるとかなり飼育しやすい種と言えます。
産卵
ニホンヤモリは春~夏にかけて産卵をします。
産卵期にはオスは尾を持ち上げて左右に振ってアピールし、メスに求愛します。メスは抱卵すると体の左右に1個ずつ腹側から卵が透けて見えるようになります。
産卵は壁や隠れ家などに卵を接着させて2個産みます。有精卵は時間が経つと色が薄いピンク色になりますが、無精卵や死卵は白いままでやがて萎んでいきます。
冬眠
まずはじめにヤモリに限らず、爬虫類を飼育下で冬眠させる事は難しいです。
日本のトカゲやヘビは一般的に15℃以下になると温度変化の少ない土や倒木の中に潜り冬眠します。
そして春になり、気温が15℃~20℃になると冬眠から明け、活動を始めます。
飼育下で冬眠させる場合、生体が冬眠から目覚めないようケージ内の温度を5℃~15℃に保つ必要があります。また、冬眠中は捕食はしないものの、給水は行っているようなので適度な湿度を保つ必要があります。湿度が必要とは言え、床材やシェルターが薄く、屋外で濡れ過ぎている場合は生体ごと凍結してしまう可能性もあります。屋外の日向にケージを置いておくだけでは昼間は温度が高くなるため冬眠できません。
姿が見えていないのに温度や湿度を適度に調整することは、しっかりと設備を整えた上、ある程度経験がなければ難しいでしょう。
爬虫類にとって「冬眠失敗=死」です。ヒーター等の暖房器具を揃えれば冬眠させずに室内での飼育が可能ですのでまずは室内での飼育をおすすめします。
ニホンヤモリの室内飼育に必要なもの
ニホンヤモリは体が小さく、ケージは100均で売っている小さい虫かごでの飼育が可能です。しかし、ケージが小さい分、汚れるのも早いためこまめな掃除が必要です。
おすすめの飼育方法ですが、同じ設備のケージを2つ用意し、片方が汚れたらヤモリをもう片方に移動させ、使っていた方を掃除するという方法です。いずれにしても掃除中はヤモリを別の蓋付のケージに移動させる必要があります。また、掃除中に移動先のケージで糞をする事もあります。
高価なヒーターは1つでOKです。メンテナンス時間の短縮にも、ヤモリの負担を軽減するためにもケージを2つ用意してみてはいかがでしょうか。
ケージ
ヤモリは脱走が得意なので、虫かごなど蓋がしっかり付いて通気性が良い物を選びます。
単体での飼育であれば、100均の小さいサイズで十分飼育が可能です。使いたいシェルターや水入れ、ヒータに合うサイズのケージを用意しましょう。
シェルター
ヤモリの隠れ家です。ニホンヤモリは夜行性のため、昼間は暗くて狭い場所に隠れています。割れた植木鉢の破片などで隠れる場所を作れるものをケージ内に用意します。隠れる場所が無い状態で飼育を行うと、ストレスにより拒食などを起こす場合があるため必ず用意しましょう。
水入れ
水入れからは直接水を飲む事は少ないですが、脱皮不全防止に湿度管理のためにも水入れを設置します。また、1日1回ケージ内に霧吹きで水滴を付ける事で水分補給をさせます。
床材
こまめに掃除する必要があるのでキッチンペーパーを敷いておくと掃除が簡単です。
土やカブトムシマットも使用できますが、掃除する頻度が高いので向いていません。
ヒーター
ケージのサイズや材質に合わせてヒーターを選びます。
ヒーターを使用する際はケージ全体を温めるのではなく、ケージ半分程度が温まるように設置します。ヤモリが適温を選べるように涼しい場所と温かい場所を作れるサイズのヒーターを選びましょう。
ケージの下に敷いて下から温めるタイプや、上部に設置して上から温めるタイプがあります。
ヒーターを付けても気温が低い場合は室内の暖房器具で調節します。
ニホンヤモリの室内飼育方法
飼育環境について
用意したケージにキッチンペーパーを敷き、シェルターと水入れを設置すれば完成です。
脱皮不全防止や水分補給のために1日1回ケージ内に霧吹きで水滴を付ける事で水分補給をさせます。
ケージ内の気温は25℃~28℃に保つようにします。
冬季はヒーターを使用し、それでも気温が低い場合はエアコンなどの暖房器具も併用して加温します。
バスキング(日光浴)について
ニホンヤモリは夜行性ですが、日光浴を行う事があります。日光浴で紫外線(UVB)に当たることでカルシウムの吸収に必要なビタミンD3を体内にて生成します。クル病(代謝性骨疾患)の予防の為にも必要です。
ただし、昼行性のニホンカナヘビやニホントカゲほどの紫外線は必要としないため、UVライトやバスキングライトは不要です。窓ガラス越しでも一定の紫外線は透過しますので、暑くなりすぎない窓の近くの少し太陽光が当たる場所にケージを置いておきましょう。
この時に直射日光が良く当たる場所に置くとケージ内が高温になるため、レースのカーテン越しや、くもりガラス越し程度が好ましいです。
ニホンヤモリの餌の与え方と入手方法
ニホンヤモリの主食は生きた昆虫です。
基本的に飼育する以上、生きたコオロギやミルワームを用意する必要があります。
生体のサイズに合わせて餌のサイズを選びますが、ニホンヤモリは小型なのでヨーロッパイエコオロギならS~Mサイズくらいのものを選びます。
ひと昔前までは活餌は自分で調達するか、専門店まで買いに行かなければ手に入りませんでしたが、今はネットショップやヤフオクなどでサイズも選べて簡単に入手できます。特にヤフオクは良い出品者に出会えれば店で購入するより安価で高品質なものを購入できる場合もありますのでおすすめです。
餌の与え方ですが、飼い始めてすぐはケージ内に直接餌を入れて自然に近い状態で給餌します。
給餌の前は必ずクル病や卵詰まり予防の為、餌にカルシウムパウダーを塗して(ダスティング)から与えます。
人に慣れてくると、ピンセットからも食べるようになるので人工飼料に移行したい場合は試してみるのも良いかもしれません。